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思惑の落し穴

恋はすべてどこまでも片思いだ。

ひたむき。

 繊細かつ大胆な演技で“青春の光と影”を演じ切った初主演映画『ピンクとグレー』の印象は強烈だった。時代劇『信長燃ゆ』、スペシャルドラマ『刑事バレリーノ』、『デート~恋とはどんなものかしら~ 2015夏 秘湯』、主演2作目にしてラブストーリーに初挑戦した映画『僕らのごはんは明日で待ってる』が来年公開と、当然これまでも役者として多くの作品でその存在感は注目されてきたが、近年、役者としてネクストステージへと確実にその歩みを進めている感がある中島裕翔。現在、約1年半ぶりとなる連ドラ、しかもゴールデンタイムとしては初の単独主演作『HOPE~期待ゼロの新入社員~』の撮影真っ最中。今作で中島が演じるのは、幼いころからの夢に挫折し、総合商社で働くことになった主人公・一ノ瀬歩。社会経験も学歴もない“期待ゼロ”の新入社員だった彼が、数々の困難にも屈せずひたむきな努力を重ね、組織の一員へと成長していくこの物語の中で貫かれる一ノ瀬の“ひたむきさ”は、そのまま中島が芝居に注ぐそれだ。このインタビューの中で語られる、今作に取り組む中島のどこまでも真摯な姿勢。真面目で心配性ゆえに、自分の芝居に常に不安を抱きながらも、それでも自身を、ともにドラマを作り上げる仲間達を「信じてやるしかない」と話し、いつだって一ノ瀬ならどうするか?を考え続けている…そんな中島本人のひたむきさが、きっと多くの人の胸を打つことになるだろう。

今作は、韓国のドラマが原作ということで。台本を読まれて、今回演じる一ノ瀬という人の印象とは?

「そうですね。それこそ、僕は商社で働いてるような友達とかもいないし、そういう意味では何もわからないので。自分が本当にわからないまま翻弄されていくというか…そういう印象が強いです。なので、やっぱりなるたけ事前に情報を入れないようにとは思っていて」

満足な社会経験のない新入社員ということで。

「はい。そういうサラリーマンもやったことないですし、言ってしまえば、自分達の活動の範囲でしか仕事をやってきていないので。そういう社会常識みたいなものって、一ノ瀬に近いぐらいないといえばないので。そういう“初めてだらけ”っていうのは、等身大な自分も少し投影したりだとか…出来ているんじゃないかなと思います」

役作りとしては、そういったところから?

「そうですね。それと、囲碁をやっているということだったので。そんなにたくさん囲碁のシーンが出てくる訳ではないんですけど、回想とかで出てくるので。一応、そのルールとか…その佇まいだったり、あとはやっぱり打ち方ですよね。自分の手元(を撮影)じゃなかったりもするんですけど、打つ時の音、パチッ!と鳴らさなきゃいけないですし。そういうところから、動画を観て勉強したりとか、実際に指導の方に教えて頂いて…っていう感じですかね。満足な学歴もないまま、ずっと囲碁に打ち込んできた人が、商社という全く知らない世界に入っていくっていう…そういうところは考えるようにしてます」

ビジュアル的な部分…衣裳や髪型というのは、どうですか?

「1話に関して言うと、“学生”と“囲碁を打つ”シーンがありますし、その囲碁に挫折してからは、ちょっと野暮ったくなっているというか、髪の毛もボサボサになっていたり…。そういうビジュアル面での変化を出すのが、凄く難しかったんですけど。あと、インターンになってからの髪型だったりとか、正式にインターンから契約社員に採用されましたっていう(段階での)髪型の変化もありますし…凄く、そこはメイクさんと話しながら。衣裳はずっとスーツなので。といっても…最初はスーツも持ってないので、自分のお父さんが着てたスーツを着るんですけど。見事にダサくて、ブカブカで(笑)。なんかでも、そういう目に見えて変化するのは面白いなって」

『ピンクとグレー』で取材させてもらった時も凄く感じたんですけど。その髪型や服装の細かな変化もそうですし、そんなにシーンがないとしても、囲碁について勉強をしておく…結構、役の背景について凄く気にされるタイプなのかなぁと。

「そうですね。特に1話は、モノローグが多くて。ほかに役作りみたいなものが…なくはないですけど、ちょっとこういうことしておかないと不安な自分がいて(苦笑)。やっておいたほうが安心かな、みたいな。(一ノ瀬は囲碁に)これまでのほとんどをかけてきた訳だから、そこの立ち振る舞いとかって、凄く出ると思うんですよ」

普段の生活にも、何か習慣とか癖になっていることがあったり。

「はい。考えてる時とか…実際に、囲碁の格言を思い出して、次に進める話もあるので。だから、それを全部なくした時に、人はこれだ無防備になってしまうんだなっていうか。結局は…囲碁をやっていたことも崩されてしまうんですけど。だけど、やっぱりそれまでやっていた何か、みたいなのは大事かなぁと思って」

クランクインから約1ヵ月。

「はい、そうですね」

実際に一ノ瀬歩を演じてみての感触、手応えはいかがですか?

「さっき話したように、1話ではほとんどセリフがないんですよ。ずっと心の声で。だから、みなさんがセリフ多かったりすると、なんか申し訳ないなって思っちゃったりするんですけど(笑)。そういうモノローグがあるようなドラマも、初めてなんですよね。だから、そのモノローグの間だったりとか、モノローグに合うようなお芝居をするのが新鮮ですね」

一ノ瀬の心の声=モノローグというところでは、どちらも“自分”ですもんね。

「そうなんです。回想明けとか、そういうシーンとの繋がり、芝居っていうのはやったことがあるんですけど、そのモノローグとお芝居のバランスっていうのが初めてで…凄く難しいなと思いました。どっちにいくか?というか、モノローグはそこまで感情を込めて言わないので、そのぶん表情ではわかりやすくしたほうがいいのか?それとも、もうちょっと自然なほうがいいのか?これは、前回撮った映画『僕らのごはんは明日で待ってる』で学んだことなんですけど。“僕ごは”では、『とにかく余計なことを捨ててくれ』って言われて。『棒読みでもいい。そこにあとから感情がついてきて、その感情で言えるようになるはずだから』っていうやり方、アプローチの仕方だったので。だから今回、それが終わってからのドラマなので、そのバランスが凄い難しいなぁと思ったんですね。ドラマ的な見せ方って、やっぱりあるじゃないですか。わかりやすかったりとか」

ドラマならではの“説明”も必要ですしね。

「そうなんですよ。だから…それはドラマは見せ方がそうなだけであって、本人は変わらなくていいのかなって思いますし、結局は、監督さんの要望に応えるのが最善なんですけど」

映画“僕ごは”については、Hohnny's webでも「これまでとは全く違うアプローチをした作品」とありましたね。

「全然違いましたね。究極の役作り、と言ったらわかりやすいのかなぁ。例えば、つらいシーンでもこうして(眉間にシワをよせて)厳しい顔しなくても、観てる人には伝わるし…とか、あんまりわかりやすくしなくていいんだなぁっていうような」

そこでの経験があったから、今回余計にっていう…。

「まぁ、だいぶ…そうですね、違いを感じますね。だから、変わらなくていいのか?って悩んでるところでもあって。特に一ノ瀬は、凄くアタフタしてる動きだったりとかもあるんですけど、桐山君が演じている人見のように、オーバーな口調だったり、手をつけて説明したりとかっていうのはあんまりしないし。プレゼンのシーンでも、そんなに上手く話せなくていいって思ってたんですよ。不器用だけど、自分が思ってることを素直に言うことで、みんなが今まで忘れていたことに気づかされたり…っていうのがあるので。そう思うと、やっぱり素というか、わりと自然体なほうが響くんじゃないかなって思うんですよね。もちろん、場に応じて違いますけどね」

見え方、見せ方というのを凄い考えるんですね。前回「わからないことはすぐに監督に聞きに行っちゃうタイプだ」ともおっしゃってたんですけど。そこもまた今回は、演出の河野さんだったりに聞いて?

「そうですね。聞きますけど…やっぱり、監督によって違うので。あと1話の台本が準備稿と決定稿で結構違いが生じたんですが、『準備稿にあったバックボーンは必要だから、それは覚えておいてほしい』って言われました」

20話と長い韓国のドラマを日本の連ドラにする訳ですから、そういうことは多々あると思いますが…やっぱり、演者さんにとっては結構な“事件”ですよね(笑)。

「そうなんですよ(笑)!だからそういう意味では、感情だったりとか、『この時は、どっちなんですかね?』とか、つらいけど前向きなのか?それとも自分にガッカリしているのか?っていうのを聞いたりします。でも考えに考え抜いたあとは、もうあんまり考えずに、感じたことで…もうそれが間違ってたら、ちゃんと監督さんに軌道修正して頂けるし、それを信じてやるしかないなっていうのもあるし」

一ノ瀬は、挫折を知ったところから懸命に這い上がって、そのひたむきさが周りの人達をも変えていくような人。そういった作品なり台本を読む時って、自分とのオーバーラップするところだったりっていうのを探したり、感じたりっていうのはやっぱりあるものですか?

「ありますね。やっぱり、共感出来ないと感情移入出来なかったりするし、かけ離れていても近いものを探したりとかします。今回は、本当に社会常識もゼロで、なんにも出来なくて…自暴自棄になったりして、途方に暮れていた一ノ瀬だったんだけど。それでも、お母さんだったりとか、面倒を見てくれる課長とか主任とか…一ノ瀬って、人に恵まれてるなぁと思ったんですよね。僕も、今まで色んな作品の現場に携わらせてもらっているけど、毎回、どの現場も凄く楽しいし、いい現場だったなぁっていう思い出ばかりで。恵まれてるなぁっていうのは感謝していることなので。例えば、自分が思い悩んだとしても『大丈夫だよ!』って言ってくれる人がいたりとか、それで凄く前に進めてると思うんですよね、一ノ瀬って。やっぱり、そういう部分は共感出来るし…だから凄く、最初台本読んでるだけでも、新しいスーツが掛けられているシーンがあるんですけど」

お母さんが新調してくれたスーツですね。

「(頷いて)そういう、台本読んでるだけでもウルッとなってしまうシーンが何回かありましたね」

壁にぶつかったり、逃げ出したいけど逃げたくないっていう一ノ瀬のような経験は、中島さん自身にも?

「少なからず、あると思いますね。例えば…お芝居で上手くいかなかったりだとか、気持ちが入らなかったりとか…なんかそういう時って、色々…何かのせいにしたくなったりとか、それこそ逃げたくなったりするんですけど。でも結局、自分を成長させるためには、やっぱり自分自身で闘わなくてはいけないなっていうのは…凄く気づいたことというか。今まで、どこかしら自分が逃げてきた部分があるから、成長出来なかった自分もいたし。そこはちゃんと自分との問題、自分の中の問題とは凄く向き合うようにしていますね」

何か、そう考えるようなきっかけがあったんでしょうか。

「あんまり…どの時期っていうのはないんですけど、毎回そうやって作品をやらせて頂くにあたって、そういう想いとは直面することはあるので。単純に、気持ちを込めてセリフを言えなかったりする時も、このセリフに対して自分の考えが足りなかったなと考えたり。あんまり誰かのせい、何かのせい、にすることがなくなった気がします。一ノ瀬なんて特に、囲碁に打ち込んできて、挫折しちゃって。その理由を、“お母さんが倒れちゃったから”とか、今までそうやって自分以外の何かのせいにしてきて…自分がもう1回闘って失敗することが怖かったけど。最終的には、色んな人に背中を押してもらって、前に進もう!って思えるので。ただ……このドラマの面白いところは、それで結構いいところまで行くんじゃなくて、何回も落ちるんですよ(笑)。上がったと思ったら、すぐ落ちるし…感情の起伏が激しいので、可哀想だなぁと思ったりするんですけど。でも、そういう気持ちは理解出来なくはないので。そういうものにも寄り添っていければなと思います」

中島君自身が、挫折だったり、上手く出来ないことを、ちゃんと自分ひとりで考えて、悩んで、乗り越える人なんですね。

「そうですね、あんまり誰かに相談しないですね。相談するとしたら、お世話になってるプロデューサーさんだったりとか…先輩にもあんまり言わないですし、それこそメンバーにも話さないので」

そうなんですか。

「うん。誰かしら人が携わっていたりとかするので、そういう環境とかもやっぱりあると思うんですよね。その中で、“自分はこうしていきたい”みたいな…芝居だけじゃなく、何でもそうなんですけど。写真でもドラムでも、誰か“こういう風にやりたい”みたいなものがあるんで。そういう、まず憧れの人を作ることが大事なのかもしれないですね。形から入るじゃないですけど、こういう風になりたいとか」

明確な目標になりますもんね。憧れがあると。

「そうなんです。だからこそ、こういうことをやったほうがいいのかなぁとか思えるし。そういう自分で考えてやらないといけない、みたいな考えは…周りの大人の人に教えてもらったりとか、ドラマの現場で学んだことであったりとか。そういうことが多かったんじゃないですかね」

いわゆる“サラリーマン”役としては、『半沢直樹』では正義感の強い銀行員、『デート~恋とはどんなものかしら~』では硬派で爽やかな営業マンと、これまでも演じてきましたが、今回の一ノ瀬のような“等身大”のサラリーマンはやりやすい部分もあるんでしょうか?

「そうかもしれないですね。もちろん『半沢~』の時も、現場の環境と自分の立ち位置みたいなものが、凄くリンクしていたんですよね。周りは大先輩ばっかりですし、年上の方がたくさんいて…っていう、その環境的には変わらないし、その中で上司の理不尽な物言いと闘ったりとか、だまされそうになったけどそれでも半沢を裏切らない心だったりとか。3話で僕がバッ!と携帯を差し出すあの時は、自然と悔しいなっていう気持ちで泣けたりとか…そういうところでは、リンクする部分はあったんですけどね」

結構、演じる時って、役に同化している感覚に近いのかな。

「どうなんですかね?そうなのかな…そうかもしれない。今回も、例えばインターンの間でちょっとしたいじめみたいなのがあるんですけど、その撮影の時も、すっごくつらくて…。芝居だってわかってるんだけど、あの仲間はずれ感みたいな…あれはちょっとつらいなぁってなりました。だから最初から話さないようにしてたんです、みんなと」

そうなんだ。今回はかなり同世代の役者さんがたくさん出演されているから。

「そうです。だから…桜田通君がやる新村とか、ちょっと嫌なヤツで…」

そういう関係性で、(『弱くても勝てます』以来)今回またご一緒出来るっていうのは嬉しいですね。

「そうなんですよ、嬉しくて。だから、通君ともっと喋りたかったなぁと思って(笑)」

今はその役の関係上、距離を置いている感じで?

「そうなんですよね。普通に合間は喋ったりしますけど、一応、役柄上の距離感というか、そこはやっぱり保っておかないとなぁっていう」

自分の芝居がOKなのかどうかわからない不安というのは、オンエアされるまで不安なものですか?

「不安ですね。特に、『チェックが間に合わなかった』っていう時とか…。でも、どうしても見たい時は『さっきのこのシーン見返せますか?』ってお願いしたりとかします。まぁでも、OKって言われたなら、OKなんだなっていう気持ちもどこかにあるし…それはやっぱり信じてやっていかないと、ダメかなぁと思ってるんですけどね」

幼いころから“仕事”の現場に居るから、そんなに不安に思ったりすることってあまりないのかと思ってたんですが…結構、心配性なんですかね。

「あぁ~!うん、心配性ですね。凄い心配性です!」

ははは(笑)。

「大丈夫かなぁ?って、すぐ思っちゃう自分がいたりとか…。だから、納得出来るお芝居をするようにしよう、って集中してます。今は。じゃないと…色んな邪念で、思うように出来なくなっちゃうと思うし。少しそういう心配な面もありますけど…たまに(笑)。だからこそ、このシーンでこれを言う時は、何かを気遣って言ったりしてるのかな?とか、なんでこの言葉が出たのかな?っていうことを考えたりとかも…します。そこの場面で間違えないように」

その人がセリフを言うに至る、背景とか行間というものを凄く考えるんですね。

「気になりますね。そうやって自分が考えたもの全部が全部、合ってるかはわからないですけど」

でも、そこを想像してから臨みたい。

「はい」

それは、お芝居を始めてから変わらないこと?

「ですね。そうかもしれないです。色んな監督さんとやらせてもらってるからこそ、その人が言ってくれたいい言葉をチョイスして」

どんどん自分に残していって。

「はい。例えば、『!』マークがあるから、強めに言わなきゃいけないって訳でもないし」

悲しいからといって、泣くことが必要な訳でもないし。

「うんうん…そうです。それが凄く難しい。そこに対応していくのに必死です」

逆に『よし!』って思う時はいつなんですか?納得出来る時。

「(ニッコリと)難しいセリフを、バーッ!って言えた時(笑)」

いま、凄くいい顔しましたね(笑)。

 「決まった!って(笑)。でも今回の役も、貿易用語を…山内さん演じる安芸主任に試されるんですけど。そこで、安芸さんに『パーフェクト!』って言われるんですよ。全部言えた、その最後に。なんかそれも気持ちよくて(笑)」

嬉しくて(笑)?

「嬉しい(笑)。ふたりで凄い盛り上がってる、かわいい画なんですけど。そこに課長の一喝が入るんですけどね、『うるさいんだよ、おまえら!』みたいな(笑)」

その山内さんも、コメントで『中島さんの芝居のポテンシャルの高さに驚いている」とおっしゃってましたね。

「本当ですか?嬉しいですね。自分ではどこまでポテンシャルがあるかわからないので…。そういう風に、傍から見て言って下さるのって、やっぱり嬉しい限りですよね。それを信じて、やっていけるなとも思うし」

お芝居のポテンシャルというと…個人的に『刑事バレリーノ』での中島さんが強烈に浮かぶんですけども(笑)。

「ははは!はい(笑)」

あの役が出来るって凄くないか!?と…。

「あれはもう……自分で言うのも変ですけど、アイドルなのに大真面目にバカなことをやってるのが自分でも恥ずかしいけど(笑)、楽しかったです。でも…振り切るまでが大変なんですよ、僕。ノッてきてからはなんでも出来るんだけど、そこに行くまでが凄く時間かかるんで」

それは、恥ずかしさと葛藤しちゃうから?

「そうですね(笑)。ちょっと、やっぱ…恥ずかしいなっていうのがあって。だけど、そこをバーン!と突き抜けた時に、『あ、いいね』『面白い面白い』って言ってもらえて。面白いとか、自分が言ったことに対して誰かが笑ってくれるのって、結構自分の中で嬉しいことなので。あの刑事の時は…そうですね、大真面目にやってましたね(笑)」

素晴らしかったです(笑)。改めてですけど、前回『ピンクとグレー』で登場して頂いて以降の作品としては、新春時代劇『信長燃ゆ』では京都へ通い…。

「はい、時代劇やらせてもらいましたね」

そして、『刑事バレリーノ』があって。そこから更に、映画“僕ごは”を撮影したあとに、今作ですよね。かなり色んな役柄、振り幅の広いお芝居の現場が続いてますね。

「いやぁ~、ほんとありがたいですね」

ということは…連ドラ自体が意外と久しぶりなんですね。

「あぁ、そうですね。『デート~』もスペシャル(15年9月OAの『デート~恋とはどんなものかしら~2015夏 秘湯』)だったし…その連ドラ『デート~』以来ってことですかね」

久々の連ドラの主演、しかも初のゴールデンっていうのはやっぱり最初は聞いた時は嬉しい気持ちとプレッシャーと…。

「そうですね。はい、ありました。喜びと緊張と…なんか複雑な感じ。『自分に出来るかなぁ?』みたいな(苦笑)」

この夏は、アイドルとしても、7月からドラマと並行してJUMPのツアーが始まりますね。

「そうですね。ツアーのスケジュールがあるので、ドラマのほうにご迷惑をおかけしてる部分もあるんですけど…。そのぶん、どっちの場でも頑張りたいですし、この夏をしっかりと一ノ瀬と一緒に生き抜きたいっていう想いもあるし。やっぱりツアーのほうでも、ちゃんとお客さん、ファンのみなさんへの感謝だったりとかしっかり伝えたいなって…。そういう部分では、(コンサートでは)しっかりとお客さんに感謝して“キラキラ”に(笑)。っていう、ふたつのことをしっかりとやり抜きたいと思います。なんか…現場のスタッフさんとかに凄いつっこまれるんですよ。『かなりキラキラしてましたね』とか…それが恥ずかしいんですよね(笑)」

JUMPのライブでは、やっぱりキラキラしてますよね(笑)。

「はははは」

とか…こういう感じが、恥ずかしい?

「恥ずかしい…(笑)。全部が自分なんですけどね。やっぱり、そうやって使い分けてるところを見られると、恥ずかしいんですよ」

面白いですよね。ジャニーズ事務所の人に『お芝居とアイドルと、どう切り替えてるんですか?』と聞くと、『特に切り替えてない』って答える方も多いんですよ。

「へぇ~!なんですかね?JUMPとして求められてるものが、だいぶかわいかったりとか、キラキラが多かったりする…から、なのかなぁ?」

中島さんはアイドルとしても、もちろんキラキラしているんだけど、お芝居をやってる時は「お芝居すっごい好きなんだな、この人」って伝わってくるんですよね。

「あぁ、ほんとですか?」

言葉は悪いですが…決して片手間にはやっていないのが伝わる。

「そうですね。それはしたくないっていうのはあるかもしれないです。だから、そう見て頂けるのかなぁって。いまだに、お芝居は“お邪魔させて頂いてる”っていう気持ちがやっぱり強いので…どうしてもアイドルやってるぶん、『アイドルだから出てるんだろ』とか…」

言わせないようにしたいですもんね。

「そうなんですよね」

お芝居をやりたい、好きだなっていう気持ちは、確実に大きくなっていますよね?

「大きいですね。なんか昨日も、プレゼンのシーン撮っていて。専務役が風間杜夫さんなんですけど、あの方に『君は、プレゼンパートナーに物を売るとしたら、何を売る?』って凄い目で見られた時に、『うっわ…俺、今この人と目が合ってる!』って思っちゃったんですよ。なんか嬉しくて…」

ははは(笑)。

「この人と目が合って、お芝居で対面出来てる!っていうのが、凄く嬉しかったんですよね」

不思議な感覚ですね。一ノ瀬が専務から話しかけられる嬉しさと、役者として大先輩と対峙している喜びと…同時に感じていたのかな。

「うんうん、そうかもしれないですね。一ノ瀬としても、役者としても“凄い人”と対面してる!っていう意識があって、なんか嬉しくて。普段なかなか体験出来ないことだから面白いのかもしれないですね、お芝居って。色んな人になれる、色んな経験が出来るっていうのが凄く楽しいし。楽しくやることを忘れないように、っていうのはいつも思っています」

狂気を感じさせる役みたいなのも、面白そうですね。

「あぁ~やってみたいですね。だから早く『ヒメアノ~ル』観に行きたいなって(笑)」

まだ観てないんですね。あれは…やばいですよ。

「観てないんですよ。超観たい!」

その森田剛さん始め、役者として活躍する先輩が事務所にたくさんいらっしゃって。

「ほんと、そうなんですよね」

色んな中島さんの記事を見させてもらうと、岡田准一という人はある種の目標であると。

「はい、それはあります。とにかく『岡田は凄いから』っていうのは、周りから凄く聞くので。実際、だからこそ築けた地位もあるし、だからこそ出る佇まい、雰囲気というか…なんかドッシリしてるじゃないですか。そういうのって憧れますよね。でもそれって、ある程度年齢を重ねないと、出せない渋みだったりとかもあるから。『いいなぁ、この人の顔のシワ』とか『いいなぁ、髭』とか思ったりするんですけど。頑張っても僕、髭…そんなに生えてこないし(笑)。だからなんか、もう少し年を取った時に、『いい声してるなぁ』とか『いい顔してるなぁ』って言われるような役者さんになりたいんですよね」

そのためには、やっぱりいい年の取り方っていうものを…。

「そう、しないといけないなぁと思って。岡田君は本当にストイックだし、ほんっと敵わないというか…。自分は全然まだまだだなぁって思う。足りてないところがどこなのか?っていうのが、岡田君を見るとわかる気がします」

先輩方それぞれに“色”がある中で、中島君ならではの“何か”、その役者としての“武器”が、どういうものになっていくのか?っていうのは、今後が楽しみですね。

「そうなんですよね。僕はどうすればいいんだろうなぁ?っていう。でも本当に自分は、いい意味でジャニーズ色を消したいなって思ってるので。どんなに不細工に映ろうが、どんなに恥ずかしい格好をしようが……『~バレリーノ』では振り切るまでがちょっと大変でしたけど(笑)。でも、自分がどんな風に映ろうが構わない。『ピンクとグレー』のベッドシーンとかも、やっぱり役者として見て頂けるって意味でも凄くチャレンジだったと思うし。そういうことにチャレンジさせてもらえてる環境に、感謝なので。そういう経験を積み上げつつ、まずはちゃんとしたお芝居が出来るようになって。その上で、自分で考えながら、自分の力で、しっかりやっていきたいなっていう思いはありますね」

 

 

 

+act. 2016.8