思惑の落し穴

恋はすべてどこまでも片思いだ。

狭き門より入れ



小4の終わりくらいに、知らないうちに履歴書を母親が送ったらしくて。しばらくして、“渋谷に行こう”って突然、連れてかれたんです。会場に男のコがいっぱいいたんで、なんかのオーディションだろうなとは思ったんですよね。ちょっとしたら集合させられて、自己紹介したんです。“僕がジャニーさんだから”って。僕、“この人が社長なんだ”ってことより、自分にさんづけしてるってことが気になっちゃって。昔から人と感じるポイントがズレてるんですよね。

山ちゃんは『Ya-Ya-yah』の公開オーディションで合格したんですよね。僕からオーディションの日に、声をかけたんです。なんでだろう?帰る方向がいっしょだったからかな?なんかちがったんですよね、まわりのコと。


幼かったな。すごく後悔してることがあって。

山ちゃんが入って、1年くらいかな。“やめようと思ってる”って相談されたことがあって。ホームで電車を待ってるときも、乗ってるときも。“俺、やめよっかな”って。山ちゃん、踊りうまいって、みんなに言われてたんです。なのになんで、やめようと思うんだろうって思って。鈍感だったな。みんな、少しでもいいポジションに立ちたいって努力してるけど、なかなか報われないから悩むわけで。今、思い出しても胸が痛いです。なんでもっと真剣に話を聞いてあげなかったんだろう。“大丈夫だよ。いっしょにがんばろう!”って背中を押してあげなかったんだろうって。


デビューはしたけど、立ち位置とか、メンバーとの関係性に悩み始めちゃって。

山田くんが、デビューの前の年に『探偵学園Q』に出たんですよね。そこで、尋常じゃないくらい人気が出て。なんか、びっくりしちゃって。“マジか!?”って。
意識してたわけじゃない。でも僕は、ずっと真ん中を歩いてきたんで、その変化を受け入れがたかったというか。でも同時に、山ちゃん、ずっとすっごい努力してきたのも見てる。僕が、簡単に努力してたなんて言っちゃいけないことですけどね。そういう姿も見てたから、すごく複雑で。

PVの収録で振りつけ師さんから山ちゃんと立ち位置を替われって言われて。あの瞬間は、やっぱり落ち込みました。精神的に荒んだっていうか。仕事も一気に減って。僕、高校1年生のとき学校で皆勤賞取りましたからね。すっごい落ち込んで、“なんでみんな、そんな比べんだよ”って。考えてもしかたないことをずっと悩んで、負のスパイラルに陥っちゃって。メンバーにも、家族にも。平気だよって振る舞っちゃうんですよ。

もう、たぶん限界までいったんです。ひがみや嫉妬が。限界までいって、ふっきれた気がします。僕にしかできないことだって、きっとあるんじゃないかって。やめようとは思ったことないんですよね。だって、やめたら元も子もないじゃないですか。もうがんばることすらできない。だから、どっかに望みみたいなものを持ってたんだと思うんです。
人数が多いじゃないですか。だから、武器を身につけたいと思って。ドラムは、JUMPになってすぐかな。ギターとかもカッコいいなと思ったけど、なぜかドラムを選んで。カメラは高校入るか入らないかくらいからですね。ケータイで写真撮るのが好きで。物足りなくなって、自分のカメラを買ったのがきっかけで。


一時期、メンバー内で浮いてんなって気がしてて。

僕自身の問題だったんですけどね。くそマジメっていうか、とっつきづらいところがあったんですよね。でも、そんなこと気づかないから、ひとりですっごい悩んで。考え込んじゃうタイプなんで、悩みすぎちゃって、胃がキリキリしちゃったりしたんです。浮いてるかもしれないって思いながら、メンバーのこと、大好きだったんで。わかってもらえないって想いばっか強すぎて、周囲が見えてなかったんですよね。
デビュー4年目くらいかも。そのへんから、なんかみんなが、“そういえば裕翔、変わった”とかって言ってくれるようになって。僕の反応が変わったら、みんなも変わって。気づいたんですよね。自分だけの世界で生きてたなって。僕自身、メンバーのことも、すごく考えるようになったし。あのころの自分が目の前にいたら、言ってあげたいです。“もうちょっと、やわらかくなったほうがいいよ。もうちょっと、まわりを見なよ”って。ホントに大切に思ってくれてる仲間が、すぐそばにいるんだよって。


ドラムを選んだの、偶然じゃなかったのかな

ステージで、ドラムはいちばんうしろなんで、メンバー全員とお客さんが見える位置にいるんです。安心するんですよ、みんなが見えると。僕だけの特等席ですよね。

座右の銘じゃないけど、”狭き門より入れ”って言葉が好きなんです。簡単な道を選ぶより、困難な道を選ぶほうが、自分のためになるって意味で。いろいろあったから、ほかのメンバーのちょっとしたことにも気づけるんですよね。相乗効果って感じが、すっげーいいことだなって思うんです。みんなで武器を持ち合えば、集まったとき絶対強いですよね。自分にしかない武器って、必ず誰にでもあるから。


いろんなこと、これからもがんばらなきゃいけないんですけど、カメラをやっててよかったなって思うことがあって。メンバーのオフショットを、プロのカメラマンさんにほめてもらったことがあって。僕にしか撮れないメンバーの表情ってあると思うんです。どんなときでも、いっしょにいることが当たり前だから、みんな自然な表情でいてくれる。メンバーのいちばんいい表情、俺は知ってるから。ファインダーをのぞきながら思うんですよね。これからも、ずっとこんな仲間と歩んで行くんだ。ドキドキするなって。






2014.04 Myojo 10000字中島裕翔 より要約